この記事を執筆した当時の私
獣医師/Ph.D.(獣医学博士)/大学や製薬会社で基礎研究に従事していた元研究者/ちょっと前まで犬・猫を診る臨床に従事していたが、現在はズーノーシスの予防と啓発ができる動物病院を探す求職者
- 医療廃棄物の取り扱いが雑な動物病院
- 使用済みの注射針を医療廃棄Boxに入れない院長
- シリンジを一般ごみに入れる院長
こんちには!
獣医師の修です。
私は就職先の動物病院選びを間違えました。
どうして、間違えたのか?
それを考えていたら「ヤバい」共通点があることに気づきます。
就職前にそれを知っていたら、絶対に就職しなかった。
私と同じ状況にある人がどれくらいいるかは分かりません。
ただ、そういう状況に陥る人が少しでも減ることを期待して、その「ヤバい」を言語化しています。
5回目は医療廃棄物の扱いが雑な動物病院です。
医療廃棄物の取り扱いが雑な動物病院
医療機関や動物病院などから排出される産業廃棄物を医療廃棄物と呼びます。
例えば、医療(獣医療)行為で発生した注射針・メス刃・血液およびそれが付着した物などが医療廃棄物です。
特に注射針やメス刃などの鋭利な廃棄物は、適切な処理をしないと針刺し事故などの受傷原因になるので注意が必要です。
ココでいう「適切な処理」は耐貫通性のある堅牢な容器に廃棄することですね。
でも、それができない院長がいる動物病院を2つも経験しちゃいました。
鋭利な廃棄物を専用廃棄ボックスに入れない院長
針やメス刃などの鋭利な廃棄物は、使用後は直ちに専用廃棄ボックスへ廃棄しなければなりません。
鋭利な器材による受傷を防ぐ必要がありますし、そこで働くスタッフが血液などの体液に曝露されるのを防ぐ意味もあります。
人の医療機関では針刺し事故がB・C型肝炎やHIVなどの血液由来感染症の原因となりますので、管理や取り扱いも徹底されていると思います。
でも、動物病院は必ずしもそうではないことを体験しました。
獣医療にしか興味はない院長
その2つの動物病院の院長はどちらも職人気質な人で、獣医療にしか興味がない人でした。
動物を診る・処置する・手術することにしか興味がなく、それ以外のマネジメントなどは「俺の仕事ではない」「俺は興味ないから」と日ごろから発言していました。
そんな人ですから、当然、片づけにも興味はないのでしょう。
使用済みの注射器を針がむき出しのままで放置します。
院内に医療廃棄ボックスは1つしかなく、それも診察室にはないので、捨てに行くのを面倒くさいと感じるのでしょう。
また、どちらも回転率重視の一次診療だったので、診察毎に片づける暇がなかったという背景もあります。
空き時間ができるまで使用済みの医療廃棄物が蓄積していくことが頻繁にありました。
私はまだ何もできない新米臨床家なので診察室の片づけも担当しましたが、その片づけは怖かったですね。
気をつければ大丈夫?
1つ目の動物病院では、素手で触るのが怖かったので、手袋をしてピンセットで摘まみながら片づけをしていました。
院長はそれが気に食わなかったのでしょう。
手袋がもったいない!
しかも、なんでピンセットなんか使ってちまちま片付けるんだ!
こんな感じで怒られました。
私は納得がいかなかったので反論しましたが、すぐさま一蹴されました。
針刺し事故とか起きたら怖いじゃないですか!
気をつければ、そんなことにはならない!
ある日、スタッフが急病で休み人手が足りず、止む無く院長が片づけをする必要がありました。
その時、院長自ら針刺し事故を起こしているのを見て、笑いが止まりませんでした。
医療廃棄物の片づけのジレンマ
2つ目の動物病院では医療廃棄ボックスが離れた場所にあるため、片づけの際に鋭利な物を持って移動する必要がありました。
転倒したり、ぶつかったりして二次災害が起きたら嫌だと思ったので、仕方なくリキャップして移動していたのですが…
リキャップはするなよ。
針刺しを防止するのは常識だろう!
至極当然の指摘です。
針刺し事故を防止するためにはリキャップをしてはいけません。
ただ、私は納得がいかなかったので反論しました。
じゃあ、診察室に医療廃棄ボックスを置いてくださいよ!
針をむき出しで移動するの方が非常識だと思います。
屁理屈をこねる前に自分で出来ることを考えろ!
自分で考えた結果が「仕方なくリキャップする」なんですけどね。
以後、私はスチール缶で自作した簡易医療廃棄ボックスを携帯し、そこへ医療廃棄物を入れて持ち運びするようになりました。
ただ、院長はそれが気に食わないのか、簡易ボックスの携帯を見る度にため息をつかれます。
日常生活でも針刺し事故の危険はある
近年は在宅医療(在宅獣医療)の推進の影響で、患者さんや飼い主さんが自宅で医療(獣医療)行為をする機会も増えてきました。
実際、インスリン注射をした患者さんが使用済み注射器を公共のトイレなどに放置して、その存在に気付かなかった清掃スタッフが受傷するという事故も起きています。
在宅獣医療を提案する獣医師は、飼い主さんに医療廃棄物の取り扱いについても説明するでしょう。
その説明をする人が医療廃棄物をちゃんと管理できていないと知ったら、その獣医師や動物病院のことを、飼い主さんはどう思うんでしょうね?
シリンジを家庭ゴミに捨てる院長
1つ目の動物病院はもっと驚いたことがあります。
使用済みの注射器(シリンジ)を家庭ゴミに捨ててました。
大きいシリンジは医廃で、小さいシリンジで普通のゴミ箱に入れて。
このような指示を出していました。
小さければバレないと思っているあたりが相当悪質ですね!
医療廃棄物は大きさで捨て方が変わるのでしょうか?
「郷に入っては郷に従え」とは言いますが、私は法令違反の可能性があると思ったので、ずっと医廃ボックスに入れてました。
院長からは何度も怒られるし、スタッフからも「院長が機嫌悪くなるから従って」と何度も諭されました。
それでもずっと医廃ボックスに入れ続けた結果、私は院内で孤立するようになり、その病院を辞めました。
医療廃棄物の取り扱いを観察
物件選びはでは「内見の時にゴミ置き場を見る」ことが大切です。
以前、不動産屋にこのように言われたことがあります。
なぜなら、ゴミ置き場の状態から近隣住民のマナーの良し悪しを判断できるから。
この考え方って動物病院にも当てはめることができるかもしれません。
就職先候補の動物病院の医療廃棄物の扱い方を確認してみましょう!
この記事で紹介したような雑な扱いをしているのであれば、その病院は就職しない方が良いでしょう。
注意するポイントは3つです。
- 針やメス刃などの鋭利な廃棄物を捨てる場所が各診察室にあるか?
- 院長は使用後直ちに専用廃棄ボックスへ廃棄しているか?
- 医療廃棄物の不自然な廃棄をしていないか?
これをチェックするだけでも動物病院の良し悪しを判断できるかもしれませんよ。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2024年1月26日 修(獣医師&獣医学博士)
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