犬の飼い主に知って欲しい狂犬病の基礎知識【原因から予防まで】

犬の飼い主さんに知って欲しい狂犬病の基礎知識 人獣共通感染症
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この記事を書いた人
アッチーブ

獣医師/Ph.D.(獣医学博士)/大学や製薬会社で基礎研究に従事していた元研究者/動物病院で臨床獣医師として働いていた時期もあるが、現在はサイト運営を行う個人事業主

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この記事で分かること
  • 狂犬病は「過去の病気」ではない!
  • 日本に狂犬病が侵入する可能性はゼロじゃない!
  • 日本で狂犬病のワクチン接種が必要な理由はまん延防止!
アッチーブ
アッチーブ

こんちには!

獣医師のアッチーブです。

今回のテーマは狂犬病です。

2024年2月7日に群馬県伊勢崎市で起きた飼育犬の咬傷事件がありました。

その飼い主が狂犬病予防接種を犬に受けさせていなかったことが分かり、この事件をきっかけに狂犬病に対する注目が集まっています。

アッチーブ
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さらに、SNSのXでは「犬の予防接種は必要ない」という趣旨のフェイク投稿も相次いだようです。

狂犬病が日本で最後に発生したのは1957年で、約70年間、日本では狂犬病が発生していません。

そのため、狂犬病を「過去の病気」であると考えている飼い主さんは多いと思います。

また、発生していない病気のためにワクチンを打つ理由を疑問視する飼い主さんもいるでしょう。

アッチーブ
アッチーブ

獣医療関係者の中にもそのように考える人はいるので、飼い主さんだけではありませんけどね。

ただ、飼育犬に狂犬病ワクチンを受けさせるのは法律で定められた飼い主の義務です。

納得がいかない人もいるかもしれませんが、日本は法治国家ですから、それは守っていただきたい。

アッチーブ
アッチーブ

一方、「法律だから」「義務だから」と押し付けるだけでは、飼い主さんの理解が進まないのも事実だと思います。

だから、この記事で、ペットの飼い主さんに知っておいて欲しい狂犬病の話をまとめました。

また、海外出張や旅行でアジア・アフリカに行く機会がある方々に伝えたいことも書いています。

本記事が、狂犬病&狂犬病予防接種への向き合い方や考え方が変わるきっかけとなれば幸いです。


この記事のゲスト:大輔さん
40代。地域猫活動が趣味。猫派だが犬も好きで1頭飼育中。

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狂犬病の基礎知識

ゲスト
大輔

狂犬病って聞いたことあるけど、詳しいことは何も知らないなぁ。この機会に色々と教えてください!

アッチーブ
アッチーブ

もちろんです!

一緒に勉強していきましょう!

狂犬病は、南極を除く全ての大陸で発生が確認されているウイルス性の人獣共通感染症です。

日本でも、海外で犬に咬まれた者が帰国・入国後に狂犬病を発症した輸入感染症例が1970年、2006年、2020年にありました[1-2]

でも、日本国内での発生は、1957年の猫での発生が最後で、それ以降は発生しておりません

アッチーブ
アッチーブ

ただ、全世界では約6万人が狂犬病で毎年死亡しています[3]

ゲスト
大輔

そんなに!ちょっとびっくりですね。

アッチーブ
アッチーブ

「日本で発生していない」という理由で、狂犬病を「過去の病気」と考えないでくださいね。

狂犬病の原因

ゲスト
大輔

狂犬病はウイルスが原因なの?

アッチーブ
アッチーブ

はい、その通りです!

ちょっと難しいですが、原因ウイルスの分類の話をさせてください。

狂犬病は、ラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスが原因の人獣共通感染症です。

  • ラブドウイルス科
    • リッサウイルス属
      • Lyssavirus aravan
      • Lyssavirus australis
      • Lyssavirus bokeloh
      • Lyssavirus caucasicus
      • Lyssavirus duvenhage
      • Lyssavirus formosa
      • Lyssavirus gannoruwa
      • Lyssavirus hamburg
      • Lyssavirus helsinki
      • Lyssavirus ikoma
      • Lyssavirus irkut
      • Lyssavirus khujand
      • Lyssavirus kotalahti
      • Lyssavirus lagos
      • Lyssavirus lleida
      • Lyssavirus mokola
      • Lyssavirus rabies:狂犬病ウイルス
      • Lyssavirus shimoni

少し前までは、黄色の下線で示した「狂犬病ウイルス(RABV)」だけが対象でした。

しかし、最近はリッサウイルス属に分類されるウイルスによる感染症を「狂犬病」と呼称していますね[3]

ゲスト
大輔

えーっ!?こんなに種類があるの!覚えきれないよ~

アッチーブ
アッチーブ

記事の最後にテストとかはないので、覚える必要はないですよ(笑)。原因となるウイルスはたくさんいると知っていれば十分です。

患者の大半は犬の咬傷による感染

患者の大半は、犬の咬傷によるRABVの感染です(図の①)。

だから、RABVは原因ウイルスとして覚えて欲しいと思います。

一方、原因となる動物は「犬だけではない」ので注意してください。

RABVは全哺乳類に感染するウイルスで、猫・サル・コウモリなどによる感染報告もあります(図の②~④)。

狂犬病は犬だけが感染源ではないので注意!野生動物や猫からの感染例もあるよ。

ゲスト
大輔

全哺乳類!?「狂犬病」って文字を見ると、「犬」だけを想像しちゃうね。

アッチーブ
アッチーブ

そういう人は多いと思いますので、こういう啓発活動が大事だと考えています。

アジアは狂犬病流行地域

アッチーブ
アッチーブ

あまり知られていませんが、アジアは世界有数の狂犬病流行地域です。

狂犬病で死亡する人は毎年35,000人、曝露後予防接種(post-exposure prophylaxis [PEP])を受けている人は400万人以上と推計されています[4]

冒頭で「狂犬病を『過去の病気』と考えないでください」と書いた理由はココにあります。

アッチーブ
アッチーブ

飼い主さんは次の3つを知っておいてください。

  1. 狂犬病の清浄国は日本を含む一部の国・地域だけ*
  2. 狂犬病はほぼ全世界で発生
  3. アジアは狂犬病の流行地域
ゲスト
大輔

隣国の状況なんて気にしたことなかったな~海外旅行・出張に行く人は要注意だね!

アッチーブ
アッチーブ

その通りです!

そのあたりの話も後でまとめますね!

*厚生労働大臣が指定する地域と農林水産大臣が指定する地域は少し違います。

「清浄国だから安心」「島国だから大丈夫」じゃない

ゲスト
大輔

「日本は清浄国で、しかも島国だから大丈夫!」って考える人もいるけど、実際はどうなんですか?

アッチーブ
アッチーブ

島国であることが動物侵入の制限になっていることは事実です。

アッチーブ
アッチーブ

でも、それだけで安心とは言えません。

ゲスト
大輔

それはどうして?

アッチーブ
アッチーブ

人や物の移動に伴って感染動物が侵入するからです。

例えば、ハワイ州は太平洋に孤立する島々ですね。

でも、ホノルル港で船から降ろされたばかりの輸送コンテナ内で生きたコウモリが発見され、しかも、そのコウモリは狂犬病陽性でした[5]

狂犬病の発生が1度もなかったインドネシアのフローレス島では、狂犬病流行地域から連れ帰った3頭の犬が原因で全島に狂犬病が拡大しました[6]

アッチーブ
アッチーブ

日本でも外国船による犬の持ち込み事例(不法上陸犬問題)が報告されているので、こういう事例を対岸の火事と思わないことが大切ですね。人や物の移動が盛んな現代は、日本に狂犬病が侵入する可能性もゼロではありません

また、長い間、狂犬病の清浄地域と考えられてきた台湾で、2013年に野生のイタチアナグマからRABVが見つかりました[7]

台湾は、犬・猫・コウモリ・密輸動物の狂犬病を調査していましたが、野生動物は対象外で、2013年に調査を開始したばかりでした。

アッチーブ
アッチーブ

日本もこれを受けて、国内動物を対象とした狂犬病検査実施要領を作成し、積極的な調査を行っています[4]

狂犬病は、清浄国といえども油断できない感染症です。

調査を継続して、「国内に狂犬病の発生がない」ことを積極的に証明し続けることが大切ですね!

ゲスト
大輔

こんな話、全然知らなかった!「清浄国だから安心」「島国だから大丈夫」って考えるのは良くないですね。

狂犬病の症状

ゲスト
大輔

狂犬病ってどんな症状の病気なの?

アッチーブ
アッチーブ

ペット(犬や猫)の症状と人の症状をまとめますね[4, 8]

犬・猫の症状

  • 潜伏期
    犬:10日から数カ月(大半は6カ月以内)
    猫:2~3週間
  • 前駆期:性格の変化&行動の異常
  • 狂躁期:興奮状態(目の前にあるものすべてに噛みつく、光や音の刺激に過敏な反応)
  • 麻痺期:全身麻痺→昏睡状態→死亡

人の症状

  • 潜伏期:20~90日
  • 前駆期:発熱、咽頭痛、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
  • 中枢神経症状期:不安感、恐水・恐風の症状、麻痺、幻覚、精神錯乱など
  • 昏睡期:昏睡→呼吸停止→死亡
アッチーブ
アッチーブ

狂犬病臨床研究会のHPで狂犬病の臨床症状を解説した動画が配信されていますので、ご覧になってみてください。

ゲスト
大輔

狂犬病は、発症したらみんな死んじゃうんですね。怖いなぁ。

狂犬病の検査・診断【犬や猫の場合】

ゲスト
大輔

動画を見たけれど、あんな状態の犬に近づけないよね?検査や診断はどうするの?

アッチーブ
アッチーブ

先ずは飼い主さんへの聞き込みを行います。

  • 出生地はどこ?
  • 過去2年間の生活地域は?
    (海外への渡航歴は?)
  • 狂犬病ワクチンの接種歴は?
  • 狂犬病が流行する地域から輸入されたペットや野生動物などと接触した可能性は?
アッチーブ
アッチーブ

これらの情報は狂犬病を診断する助けになりますし、狂犬病であった場合の対策を立てる上でも重要です。

ゲスト
大輔

でも、それだけでは確定できないですよね?

アッチーブ
アッチーブ

その通りです。獣医師は保健所に届出を行い、公的な収容施設で臨床症状を観察します。生前診断は確立されていないので、動物の死後に脳組織を検体とした遺伝子検査などを研究機関に依頼します。

狂犬病の治療【犬や猫の場合】

ゲスト
大輔

治療とかはしてもらえるの?

アッチーブ
アッチーブ

狂犬病は発症したら100%死亡する病気で、生前診断もできません。加えて、有効な治療法も確立されてません。

ゲスト
大輔

つまり…

アッチーブ
アッチーブ

犬や猫で発症が疑われた場合は、治療は行いません。

狂犬病の予防

人も動物も「発症したら100%死亡する」と聞いて怖いと感じた人もいるかもしれません。

でも、狂犬病の予防方法は確立されています!

それを適切に実施することで予防できる感染症ってことを忘れないでください!

ゲスト
大輔

具体的な予防方法について教えてください!

アッチーブ
アッチーブ

もちろんです。

犬の場合と人の場合を説明しますね。

犬での予防方法

日本には狂犬病予防法という法律があります。

この法律に基づき、犬の飼い主さんは、飼育犬に対して年1回のワクチン接種を受けさせることが義務になっています。

アッチーブ
アッチーブ

具体的な流れは次のような感じです。

生後91日齢以上の犬の場合

生後91日齢以上の犬を飼い始めたら、飼育開始日から30日以内に以下の手続きを行ってください。

  • 市区町村に犬の登録:鑑札の交付を受ける
  • 狂犬病ワクチンの接種:注射済票の交付を受ける
  • 交付された鑑札&注射済票を犬に付ける
  • 翌年以降は4月1日~6月30日までの間に1回

生後90日齢以内の犬の場合

生後90日齢以内の犬を飼い始めたら、生後91日齢を迎えてから30日以内に上記の手続きを行ってください。

人での予防方法

人では暴露予防接種と暴露予防接種(PEP)があります。

暴露前予防接種

以下の者を対象に、感染予防の目的で行われているものです。

  • 狂犬病が流行する国・地域への渡航者
  • 感染の危険性が高い研究者など

日本方式とWHO方式の2種類があり、前者は渡航の半年前から準備が必要なので、WHO方式を採用するトラベルクリニックが多いと聞いています。

アッチーブ
アッチーブ

海外旅行・出張する予定がある人はトラベルクリニックで相談してみましょう!日本渡航医学会がまとめているトラベルクリニックリストをご活用ください。

暴露後予防接種(PEP)

動物による咬傷を経験し、狂犬病ウイルスの感染が疑われた際に適用となる方法です。

ウイルスの潜伏期間中にワクチン接種を行って、免疫を誘導することで発症を阻止します。

  1. 現地の医療機関を受診
  2. 咬傷部位を流水と石鹸で十分に洗浄(15分間以上)
  3. 消毒
  4. ワクチンを皮下接種
    • 第1回:受傷日(0日目)
    • 第2回:3日目
    • 第3回:7日目
    • 第4回:14日目
    • 第5回:30日目
    • 第6回:90日目
ゲスト
大輔

計6回も接種されるんですか?

アッチーブ
アッチーブ

これが唯一の死を免れる方法です。耐えてください。

アッチーブ
アッチーブ

ただ、こういう状況にならない努力・注意も必要です。

ゲスト
大輔

それはどういう意味?

アッチーブ
アッチーブ

狂犬病が流行する国・地域では、日本にいる時と同じ感覚で動物と触れ合うのは止めましょう!

ゲスト
ゲスト

そういうことか!子犬とかもダメなの?

アッチーブ
アッチーブ

その通りです。フィリピンで狂犬病感染の原因動物を調べた報告では、約6割が子犬から感染していたことが分かりました[13]

ゲスト
ゲスト

えっ!?そのなの!?子犬なら強く咬まないし、大丈夫だと思ったよ。

アッチーブ
アッチーブ

似たような誤解がフィリピンでも確認されています。

アッチーブ
アッチーブ

軽度の咬傷でも狂犬病は感染します。狂犬病が蔓延するエリアでは、動物とのむやみな接触を避けることが一番大切です。

狂犬病は発生していないのにワクチン接種が必要な理由

ゲスト
大輔

法律で決まっているのは分かってるんだけどね、発生していない病気のワクチン接種がどうして必要なのか、それが分からないんだよね。

アッチーブ
アッチーブ

その辺りのこと、ちゃんと説明してくれる臨床獣医師は少ないですよね。私が言うのも変だけど、ごめんなさい。

狂犬病予防法の第一条には次のように書かれています。

この法律は、狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

  1. 発生の予防
  2. まん延の防止
  3. 撲滅

「この3つで、公衆衛生の向上を図りましょう!」という内容ですね。

アッチーブ
アッチーブ

そして、狂犬病が発生していない現状では、2番目のまん延防止が重要なんです!

ゲスト
大輔

まん延防止って、感染動物が増えるのを防ぐってこと?

アッチーブ
アッチーブ

ですです!万が一、海外から狂犬病に感染した動物が侵入したときに、そこから始まる感染拡大を最小限に抑えるってことですね。

ゲスト
大輔

そのために、発生していない病気に対してもワクチン接種が必要なの?

アッチーブ
アッチーブ

その通りです!

感染症の流行に関しては、集団内の免疫が70~75%を超えると伝染病は流行しないというシャルル・ニコルの法則が有名です。

また、WHO[9]も「リスクのある地域の犬の少なくとも70%にワクチン接種を行うことが、狂犬病による死亡を防止する最も効果的な方法」としています。

狂犬病ワクチン接種の集団免疫の意義を説明したイメージ図

ゲスト
大輔

なるほど!狂犬病が侵入したとしても、犬の間で高い免疫率が維持されていれば流行しないよってことですね!

アッチーブ
アッチーブ

正解!

バッチリですね~

ゲスト
大輔

ところで、日本の接種率はどうなの?

アッチーブ
アッチーブ

厚生労働省が「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数」を発表しています。それによると、全国平均はちょうど7割ですね!

ゲスト
大輔

一応、7割は維持できてるんですね。

アッチーブ
アッチーブ

でも、未登録の犬(飼い主の義務違反や野良犬)を考慮すると接種率は50%を下回るかもって報告[10]もあるので安心はできません。

ゲスト
大輔

未登録の犬か…。あと、日本は「リスクのある地域」なの?

アッチーブ
アッチーブ

狂犬病が日本に持ち込まれるリスクは小さいという報告[11]があるので、「リスクのある地域」ではないと思います。

ゲスト
大輔

じゃぁ、70%にこだわる必要はないんじゃない?

アッチーブ
アッチーブ

痛いところを突きますね。ワクチンの接種率に関して議論があるのは事実です。目標とする集団免疫率が日本では示されていないので、先にあげた法則やWHOの提言を参考にするしかありません。

飼い主さんが気になる狂犬病のQ&A

ゲスト
飼い主A

「日本に狂犬病が侵入する可能性もゼロではありません」って言ってたけど、発生している国や地域から侵入する可能性はどのぐらいですか?

アッチーブ
アッチーブ

検疫システムがちゃんと機能していれば、輸入に伴う狂犬病の侵入は起こらないでしょう。懸念すべきは、狂犬病予防接種を犬に受けさせない飼い主の増加貨物などへの野生動物の侵入や密輸による持ち込みですね。

アッチーブ
アッチーブ

現行の規制下では、狂犬病の犬が持ち込まれるリスクは49,444年に1回という報告があります[12]。でも、法令違反が起きると、そのリスクは249年に1回と約200倍も増加しています。つまり、法規制の遵守が重要ってことです。

アッチーブ
アッチーブ

ただ、事件・事故の可能性をゼロにすることはできないので、それが起きた場合に備えることも大切ですね。

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ゲスト
飼い主B

もしも、日本で狂犬病が発生したら、飼っている犬はどうなるのかしら?

アッチーブ
アッチーブ

「犬を繋いで飼いなさい」という命令がでます。また、移動制限も行われるでしょう。必要に応じて、一斉検診&狂犬病ワクチンの注射が実施されます。

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ゲスト
飼い主C

飼い犬が人を噛んじゃったら…どうすればいいのかな?

アッチーブ
アッチーブ

飼い主さんは保健所に事故届の提出が必要です。さらに、飼育犬を動物病院に連れていき、鑑定してもらう必要があります。

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ゲスト
飼い主D

現在、海外で暮らしてて、もうすぐ日本に帰国するんですけど、飼っている犬を連れて帰るにどうすればイイですか?

アッチーブ
アッチーブ

一緒に連れて帰りたい場合は、狂犬病予防法および家畜伝染病予防法に基づく輸入検疫が必要です。詳しくは農林水産省の犬、猫を輸入するにはをご覧ください。

狂犬病【まとめ】

狂犬病は、多くの国・地域では今でも流行しているウイルス性の人獣共通感染症です。

全世界では狂犬病が原因で毎年約6万人が死亡しています。

アッチーブ
アッチーブ

人も動物も「発症したら100%死亡する」恐ろしい感染症ですが、予防法が確立されていることを忘れずに!

日本国内での狂犬病の発生は1957年が最後で、それ以降の発生はありません。

地理的な制限や検疫システムの強化などにより、日本は清浄国を維持できていますが、それも絶対ではないことを忘れないでください。

アッチーブ
アッチーブ

清浄国を達成した国・地域で、再び狂犬病が発生している例が海外にはあります。

そして、万が一、日本に狂犬病が侵入したときの備えの1つが、飼い主さんに課せられた狂犬病ワクチン接種です。

法律で定められた全ての飼い主さんが対象の義務ですので、ご協力をお願いします。

参考文献

[1] 山本舜悟 et al. 本邦 36 年ぶりの狂犬病輸入症例の報告-京都の事例. IASR, 2007, 28: 63-64.

[2] 野崎康伸 et al. 日本国内で2020年に発生した狂犬病患者の報告. IASR, 2021, 42: 81-82.

[3] WORLD HEALTH ORGANIZATION. WHO expert consultation on rabies: third report. World Health Organization, 2018.

[4] 厚生労働省HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康> 感染症情報> 狂犬病

[5] SASAKI, D. M., et al. Rabid bat diagnosed in Hawaii. Hawaii Med J. 1992, 51: 181-185.

[6] WINDIYANINGSIH, Caecilia, et al. The rabies epidemic on Flores island, Indonesia (1998–2003). J Med Assoc Thai, 2004, 87.11: 1389-93.

[7] WU, Hsiu, et al. Notes from the field: Wildlife rabies on an island free from canine rabies for 52 years—Taiwan, 2013. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2014, 63.8: 178.

[8] 狂犬病臨床研究会(The Japan Society of Clinical Study for Rabies)のHP

[9] WHOのHP>Teams>control of neglected tropical diseases>Animal rabies>rabies

[10] 神山恒夫.愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン2006 -愛玩動物由来感染症の予防のために-

[11] YAMADA, Akio, et al. A comparative review of prevention of rabies incursion between Japan and other rabies-free countries or regions. Japanese journal of infectious diseases, 2019, 72.4: 203-210.

[12] KWAN, N. C. L., et al. Quantitative risk assessment of the introduction of rabies into Japan through the importation of dogs and cats worldwide. Epidemiology & Infection, 2017, 145.6: 1168-1182.

[13] SAITO, Nobuo, et al. Puppies as the primary causal animal for human rabies cases: three-year prospective study of human rabies in the Philippines. Frontiers in Microbiology, 2024, 15: 1425766.

2024年7月17日 アッチーブ(獣医師&獣医学博士)

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